2021年5月14日(金)
中日[1-4]ヤクルト(バンテリンドーム)
今日も宝石のような金久保優斗を見ることができると思っていた。ヤクルトの先発投手陣のなかで1、2を争う安定度であり3勝はチームの勝ち頭。開幕前にここまでのブレイクを予想していた人は多くなかっただろう。
そんな金久保の投球は3回途中、わずか39球で幕を降ろすことになる。打ち込まれたわけではなく、四球を連発したわけでもなく、ましてや危険球を投じたわけでもなく、打球が直撃したことによるアクシデント。こればっかりはしょうがない。
降板当時は1-0と1点のリードだった。そこからは継投策で勝利を手繰り寄せていくことになる。登板した中継ぎ投手たちは皆、これでもかというくらい走者を出す。4回から7回まで2人以上の走者を出した。
それでもなんとかしのぎ7回を終えて2-1。金久保が降板した3回途中と同じ1点のリードを保ってきた。ギリギリの展開。8回からはマクガフと石山泰稚のふたり。彼らにとっては1点リードの終盤はいつものこと。広いバンテリンドーム。被弾のリスクは少ない。と、プラスに考えるけれども、点差があるにこしたことはない。
喉から手が出るほど欲しかった追加点は、山田哲人新キャプテンのバットから生まれた。
8回無死三塁のチャンスから塩見泰隆は京田陽太の好守備に阻まれ、元山飛優は祖父江大輔にひねられ、あっという間に2死三塁。ここで点を獲ることができなければ嫌な空気が流れるそんな場面。粘って四球でも村上宗隆が控えている。山田、村上でなんとか1点を取りたい、そう願っていた。
その思いはいともかんたんに裏切られた。いい方に。山田キャプテンは、塩見と元山が返すことのできなかった走者をわずか一振りで迎え入れたのである。これがキャプテンの仕事なのか。役者が違う。そう思わずにはいられなかった。
若いふたりが返せず、苦しい苦しい展開、重苦しい雰囲気になりそうなところを救ったのがキャプテンのバットというのは安っぽいドラマのようでもある。
今日の試合はニューヒーロー候補・金久保のアクシデント、オスナ・サンタナコンビの2得点、急遽登板した中継ぎ陣の奮闘、古賀優大の好守備……みどころはたくさんあった。
それでも大事な大事なところをもっていくのは、チームの顔であり主役の山田キャプテンだった。村上という綺羅星が控えているけれども、主役はまだ俺。そう思わせてくれるさすがの一打。これが山田だ。
試合結果 https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000339
※ヤクルト公式HPより