2021年6月29日(火)
阪神[5-3]ヤクルト(甲子園)
ヤクルトと阪神で指揮を執った野村克也元監督の追悼試合に綺麗なつるべ打ちを見た。2回2死からの7連打はまさに打ち出の小槌だった。すべて単打でも7人も続けば5点になるということを教えてもらった。阪神に。
これで4連敗。いろいろなところで言われているけれども、今年のヤクルトは上位(巨人と阪神)に弱く下位(中日、DeNAそして広島)に強い。交流戦明けは中日と広島に5勝1敗、巨人と阪神に0勝4敗……
弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものを叩く──どこかで聞いたようなフレーズだが、まさにこのとおり。ぼくたちは栄光に向かって走る電車に乗っているのだろうか。
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さて、この試合ではサンタナを新型コロナウイルスのワクチン接種による副反応で欠いていた。代役として指名されたのは宮本丈。交流戦で指名打者のある試合では太田賢吾が多く起用されたが、この日は宮本だった。ここ最近の信頼の証なんだろう。打順も前の試合でサンタナの座っていた6番にそのまま起用された。
そんな宮本は4点ビハインドの4回無死一、二塁の場面で送りバントを命じられる。一、二塁でのバントは三塁で封殺されるリスクもあり、二塁へ送るバントよりもむずかしい。首脳陣も全員に出せるサインではない。
それでも宮本はわずか1球で決めてみせた。ベンチの期待にみごとに応えたわけだ。
以前、高津臣吾監督はピンチバンターとして宮本を起用したことがある。
1点ビハインドの7回無死二塁の場面だった。そこでも1球で決めている。
その試合後に高津監督は、「誰を出そうかというのは迷いました。(可能性が最も高い?)もちろん、そうです。いろんなことを考えて丈(宮本)に犠打をさせました」とコメントしていた。
高津監督のバントに関する宮本への信頼度はピカイチといってもいい。
バントへの信頼は本物だった反面、打撃での信頼を得るに至ってはいないことが浮き彫りになった。もしサンタナが出場していたらバントを命じただろうか。100%それはなくゲッツーのリスクはあってもヒッティングだったはずだ。
この事実は大きい。宮本の後ろが山田哲人や村上宗隆なら気にしていない。でもこの日の宮本は6番。送っても打線は下位に向かっていく。結果として中村悠平の犠飛で1点は取れた。が、1点しか取れなかったとも言える。
が、試合終盤にぼくは戸惑った。1-5と4点ビハインドの7回に山崎晃大朗が9番・投手への代打で出場した。次の回から山崎を守備につかせ、6番・宮本のところに投手を入れるはず──。しかし、山崎が下がり宮本は残ったのだ。
たしかに打席は宮本のほうが先に回ってくるものの、代打は川端慎吾も荒木貴裕も内川聖一も、彼らに代わって守備固めとして出場できる渡邉大樹も残っていた。
高津監督は山崎を守備に入れ投手に代打を起用するよりも、宮本をそのまま守らせて、もう1度打席に立たせることを選択した。
打撃が期待されているのか、されていないのか。それとも守備での信頼を勝ち取ったのか。高津監督も見極めている最中なんだろうか──。ぐるぐると回る螺旋階段。
ファン(ぼく)がそんなことを考えることができるのも、宮本が確固たるレギュラーではないからだ。いわゆる推し選手がレギュラーでなくてもいろいろなことを考え楽しることができる。
「野球は頭のスポーツ」と生前の野村克也は言っていた。これはファンにも当てはまる気がした。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000551
※ヤクルト公式HPより
記事参考:https://www.sanspo.com/article/20210612-FJ3SDTH5OBKXTGRFOFCAV5JCDI/
※高津監督コメント