静岡で見た川端慎吾”風”の泥臭さ | ヤクルトが好き

静岡草なぎ球場

2021年8月24日(火)
ヤクルト[2-1]中日(静岡)

初めて訪れた草なぎ球場。まずはベーブ・ルースと沢村栄治の銅像を確認し球場外を一周した。平日の夕方前でも多くのファンがいる。名古屋近郊から訪れているのであろう中日ファンの数もそれなりだった。

草薙球場の外野席からは富士山が望め、三塁側内野席からはうっすらとした街の灯りが見える。神宮球場とは違う景色はまた美しい。この日のぼくの座る三塁側のロケーションは絶好だ。もし左打者がホームランを打ったら、街に吸い込まれていくような錯覚になるに違いない。

なにも村上宗隆とは言わない。青木宣親じゃなくてもいい。ヤクルトが勝つならば福留孝介だって大島洋平だっていい。左打者の誰かがライナー性のホームランを放つことを心待ちにしていた。

そんなぼくの期待を裏切るかのように両軍ホームランは出ない。風の影響もあるのか、「これは」という打球も失速しているように見えた。5回終了時の花火を交え1-1のまま試合は進んでいく。

そして7回、2死二塁で打席には代打・川端慎吾。

ヤクルトが誇る切り札は今年神宮球場で行われた中日戦で代打ホームランを放った。0-1と1点ビハインドの7回2死一塁の場面。重苦しい雰囲気を打破する一撃にファン(ぼく)は酔ったことを思い出す。

相手は中日。接戦の7回。2死。走者はひとり。状況が酷似している。「左打者のホームラン」を期待せずにはいられなかった。

が、この日の先発で慶應大卒、ドラフト1位、背番号24と高橋由伸さんを思い起こさせる福谷浩司の球は力強い。川端をもってしてもかんたんに追い込まれる。それでも4球目を川端は捉えた。いやバットに当てた。

飛距離100メートルどころか1メートルもない打球はホームベース付近で大きく弾み三塁手の頭を超える。ライトスタンドに飛び込むきれいな放物線とは真逆のあたりで二塁走者を迎え入れた。全力疾走が泥臭い。一塁へのヘッドスライディングとは全然違う泥臭さ。天才と称される川端だからこそのそれ。

街に吸い込まれる幻想的な瞬間を見ることはできなかった。それでも川端が”泥臭い”ヒットを打ち試合に勝つ。それだけですべてが満たされる。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000679
※ヤクルト公式HPより

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