最後に整えてくる男・西浦直亨の変化 | ヤクルトが好き

西浦直亨

2021年10月8日(金)
ヤクルト[4-1]阪神(神宮)

西浦直亨が変わった。

今シーズンは序盤から苦しんだ。打撃面での調子が上がらずルーキーの元山飛優との併用がつづき、6月29日時点での打率は1割9分7厘。翌日に登録を抹消された。輝きがなかった。

毎年のように期待されながら、不振や故障があり複数年連続でレギュラーを務めたことがない。今年もダメなのか…の思いも頭をよぎる。

それでも西浦は腐らない。若手選手たちにまじりながら二軍の試合に出場し汗を流す。後半戦が開幕しても声がかからないなか、バットを振り自分自身を磨いた。

その頃、一軍では元山が定位置を確保しつつあった。スタメンショートは元山のものになったんだ、と多くのファン(ぼく)がそう感じた。

そんな西浦が一軍に戻ってきたのは8月31日のこと。東京オリンピックでの中断期間を含め、およそ2ケ月の二軍生活を経ての一軍復帰。

もちろんレギュラーは確約されていない。昇格初日だって相手先発投手が左腕にも関わらずベンチスタート。スタメンを信頼を取り戻すことが簡単ではないのは明らかだった。

途中出場がつづく。ようやく復帰後初のスタメン起用を勝ち取った9月4日の試合で、西浦は1安打3四球と結果を出した。ここから高津臣吾監督は西浦の起用にシフトしていく。風向きが変わった。

元山との併用ではあるものの、相手先発投手が右腕でも西浦がスタメンが基本となった。元山のスタメン起用は週に1試合程度。信頼を勝ち取ったように映る。西浦も開幕当初の打撃不振からは脱しバットで期待に応えていく。打撃内容が大きく変わった。

ここ最近の西浦は1回表の守備につく際、ベンチの前で右手を突き上げてからショートへと向かっている。熱男ポーズに見えなくもない。この日は、レフトポール直撃弾のホームランを打った後、一塁ベース付近でガッツポーズもした。ベンチに戻ってくるとここでも熱男ポーズに見えるガッツポーズを繰り出している。チームメートも一緒に盛り上がる。いい雰囲気の中にいるだけではなく、自分でも作ろうとしている。

試合終了後のお立ち台では、「朝、納豆を食べたので、粘りが出て打球が切れなかったのかな」と渾身のジョーク。今までにはなかった。

自身発案なのか、チームメート(青木さん)に「おもしろいことを言え」と言われたのか、法政大の同期でもある木下拓哉(中日)の「拾ったものシリーズ」に触発されたのか、それともたびたびウケを狙っていた大引啓次大先輩のオマージュなのかはわからない。

正直、結果が出てればなんでもいい。チームは優勝が見えてきた。そのなかでヒーローになったのだから饒舌になるのも無理はない。苦しかったときがあるからこそ、嬉しさは何倍にも膨れ上がる。

打率は2割3分7厘まで上がり、レギュラーとして最低限の数字になった。「え、ここで? 」というところでのゲッツーやエラーで印象は悪いのは否めない。タイミングが悪い男。それでも最後にしっかりと数字を整えてくるのはさすがだ。

開幕直後の苦しんでいた西浦はもういない。とても輝いている。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000898
※ヤクルト公式HPより

記事参考:https://www.asahi.com/articles/ASPB87FMXPB8UTQP00Z.html
※西浦コメント

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