2021年5月22日(土)
ヤクルト[1-0]DeNA(神宮)
試合前からざわついていた。前日の試合で敗戦投手となった石山泰稚がベンチ外だったからだ。リフレッシュだとは思う。でも、試合前の練習では目撃情報があったことから──考えたくはないが──練習後のアクシデントも頭をよぎる。
試合開始前に球団からの発表はもちろんなく、詳細がぼくたちファンに伝わってくることはなかった。いくらSNSが発達したといっても「大元」が発しなければ情報は漏れ伝わってこない。
僅差で試合が進んだ場合、どのような継投になるのか。とくに9回のマウンドには誰が登るのか。この試合の楽しみはこの1点だった。もちろん大量得点を挙げ、勝ちパターンを出さなくてもいい展開になるのが理想だ。でも打線は最近湿り気味。淡い期待を抱くことはしなかった。
予想は裏切られた。先発の小川泰弘が快投。2試合連続のマダックスとはならなかったけれども8回無失点。喉から手が出るほど欲しかった、求めていたエースはここにいた。
ブルペンでの動きもほとんどない。7回裏に近藤弘樹がブルペンに入ったのがオープニング。今年、有観客で開催されている神宮球場の試合ではもっとも遅いブルペンの始動だった。
1-0の8回裏、いつもなら──ペットボトルをブルペンの少し後ろに置いて──石山がブルペンに入る。しかしこの日は違う。近藤が7回に入っている時点でこの人しかいないのはわかりきっていた。そうマクガフである。
リード時の9回に流れる音楽からの繋ぎで流れるのが聞き慣れた「夢色傘」(泉佳伸)ではなく、「RYDEEN」(Yellow Magic Orchestra)という不思議な感じ。音楽はその瞬間を彩るアクセントになる。
石山の代わりに9回のマウンドに立つということ。その意味をマクガフはわかっているはずだ。
が、二塁打からの暴投という最悪なスタート。無死三塁で迎えるのはベイスターズの上位打線。1点リードの9回はなんて難しいのだろう。小川を続投させておけば、という思いを抱いたファン(ぼく)も多かった。
それでもマクガフは無死三塁という絶体絶命のピンチを背負っても動じることなく切り抜ける。最後の打者となったオースティンが打球を打ち上げた瞬間、打球の行方を確認することなく中村悠平のもとに歩み寄った。これはセンターフライになるという絶対的な自信、しっかり捕ってくれるというバックへの信頼がそうさせた。そう確信があったのだろう。1点を守りきった漢の笑顔は誇らしい。
試合後、高津監督はインタビューで石山の怪我を否定。本人と話し合ったことを明かしている。そのなかで「少し時間を置いて考えたい」とも語った。
もしかしたら石山が慣れ親しんだ場所に戻ってくるのには少し時間がかかるのかもしれない。でも大丈夫。ぼくたちには緑の国を守る勇者マクガフがいる。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000377
※ヤクルト公式HPより
記事参考:https://hochi.news/articles/20210522-OHT1T51203.html
※高津監督コメント