2021年6月1日(火)
ヤクルト[7-4]楽天(神宮)
朝から低気圧の影響なのか頭痛がひどかった。常備薬のEVE(イブクイック頭痛薬DX)を飲むのか、飲まないのか──その判断に迷うほどの痛み。迷わず飲めよ、飲めばわかるさと言われている気もしたがだましだましやり過ごしていた。
その痛みがパタッと消えていたのは15時30分すぎのこと。NPB公式サイトのTwitterで公示が発表されたときだった。待ちに待った宮本丈の昇格。その字面を見ただけで痛みは不思議と消えてなくなっていく。
とはいえ、この日は二軍の試合(戸田)に出場中。神宮球場に到着するのは試合開始30分前がいいところだろう。試合前のノックには参加しない。動いている(プレーしている)姿を眺める(拝める)ことができるのはイニング間のキャッチボールが最初になる。
ライトのサンタナとのキャッチボールに宮本が登場したのは3回のこと。ここから6回までは毎回、宮本が担当していた。去年していた青いリストバンドはしていない。アンダーシャツはなぜか右腕だけ長い。時折、ブルペンとも会話を交わす。そんな姿を見て懐かしい気持ちになりながら、記憶がしっかりとアップデートされた。
7回のキャッチボールには出てこなかった。そこでピンときた。次の攻撃で打順は7番から。楽天の中継ぎ陣は右投手が濃厚。となれば左の代打として出番がやってくるはず。おそらく裏で準備をしていたのだろう。キャッチボールを見るだけでそんな予想ができるのも現地の楽しみ方。
その予想通り7回の先頭打者である西浦直亨が打席に入ると、ネクストバッターズサークルに背番号「39」が姿を表した。見てるこちらが緊張する。
時は来た。
西浦が出塁した直後、今シーズン初めて宮本の名前がコールされた。2点ビハインドの場面で送りバントは当然ない。
初球は見るだろうな、そんな思いをよそに迷いなく振り抜いたバットから強烈なあたりがライト方向へ飛んでいく。初打席初安打となる、はずだった。しかし浅村栄斗の好プレーに阻まれ記録は「ニゴロ」。
見ていた人は「惜しかった」「いいあたりだった」「相手がうまかった」。そんな記憶に残るワンプレーではあった。でも残る記録は「ニゴロ」。併殺崩れでなんとか塁に残ったんだね。無機質な字面からはそうとしか読み取れない。
残った結果は1打数0安打。
これが現実。
結果よりも過程を見てほしい、とはプロ野球の世界に限らず至るところで発せられるセリフだ。それが通用することもある。でも、プロ野球の世界で、それもレギュラーバリバリの主力ではない選手はどうだろう。
明日の出場、来年の契約、引退後の生活……過程よりも結果が幅を利かせるのは至極当然のことなんだと思う。
ファンの記憶もだんだんと薄れていく。選手を思い出すのに頼りにするのは残された記録となる。膨大な量の試合を観戦していけば、この日の「好守に阻まれたニゴロ」の記憶は消えてしまうのだろう。ぼくだって例外ではない。
でもどうせなら宮本自身が渾身の一振りで勝利を決める、そんな一打でアップデートしてほしい。思い出すだけで頭痛も治るようなそんな一打をぼくは待つ。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000426
※ヤクルト公式HPより