2021年6月2日(水)
ヤクルト[1-3]楽天(神宮)
楽天のエース格である則本昂大に封じ込められ打線は沈黙。山田哲人と村上宗隆のふたりはノーヒット。ここぞで犠打は決めらない。先発の田口麗斗は5回持たず、火消し役で登板した石山泰稚は初球でやられる。こういう試合でこそ結果を出したい吉田大喜は痛恨の被弾。ため息をついたらとまらない、そんな試合だった。
それでも新たな発見はあった。試合途中からアンダーシャツが両腕とも長袖になった宮本丈のことではないし、イニング間のキャッチボールに9回中7回も出てきた宮本のことでもない。スーパースター候補・村上のこと。
村上に関しては、もはやなにも説明はいらない。ヤクルトファンだけでなくその他の球団のファンでも名前は知っているだろうし、「強打者」としての認識はあるはずだ。開催されるのであれば、という注釈はつくものの、東京オリンピックの日本代表メンバーに選ばれる可能性も高い。
とはいえ知られているのは本塁打が多く、四球を選べる。そして率も残せる。でも三振が多くて守備はあんまりうまくないといったプレーのこと。
それに加えてベンチでの振る舞いだろうか。年上の選手たちに物怖じすることなく指示を出したり、感情を爆発させる姿はSNSで度々話題となる。「村上監督」と表現されるほどその存在感は圧倒的だ。Mr.トリプルスリーでありキャプテンの山田の肩に手を置く姿はまさに監督そのもの。──ただし(ぼくは)村上が青木宣親にそういった振る舞いをしたところを見たことがない。遠慮なのか、時期をうかがっているのか──
その存在感は守備でも現れる。投手に声をかける場面はテレビ(ネット)でも多くの人が目にしているだろう。本来ならベテラン──かつては大引啓次だった──が担う役割をすでにこなしている。村上の振る舞いはそれだけではない。
相手打者がハーフスイングをした瞬間。三塁の守備位置にいる村上は塁審に腕を指し、捕手へとハーフスイングを求めるような動きを取った。指ではなく腕全体を出した。まさにラリアット。圧倒的な存在感にハッとする。
守備で魅せる選手というのは球界にもたくさんいる。今なら「源田たまらん」でおなじみの源田壮亮(西武)が筆頭格だろうか。それ以外にも菊池涼介(広島)や五十幡亮太(日本ハム)らも守備で注目したくなる存在だ。そんな彼らに村上は守備のうまさでは到底及ばない。それでもフィールドにいるときの存在感は負けていないはずだ。
守備についているときの「存在感」。数値では現れないであろうポイントも村上は持ち合わせている。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000432
※ヤクルト公式HPより