2021年8月21日(土)
広島[3-8]ヤクルト(マツダ)
勝ちに不思議の勝ちあり──と生前の野村克也ならボヤいていることだろう。いや、死してなお空の上で1時間では到底すまないような独演会が催されていてもおかしくない。拙攻、制球の定まらない先発投手、守備のミス、複数回の走塁死…たくさんあった。
プロの選手やチームとしてはそれぞれの項目を反省し、次回に生かすことをしなくてはいけない。選手として生き残るためにも、チームとして優勝を狙うためにも重要だ。でもぼくたちファンにとっては「勝った」という結果がなによりも大きい、と思う。
負けても楽しめる試合はたしかにある。村上宗隆が豪快な本塁打を放ったとか、奥川恭伸が快刀乱麻の投球をしたとか、あるいは塩見泰隆がスーパープレーを魅せたとか。でも勝つことがなによりもの喜びだ。
さて、そんなボヤキが聞こえてきそうな試合をなんとか壊さずに進行させたのが先発のサイスニードだった。5回2失点(自責1)、被安打4、与四球1(93球)。打席ではバントも決めた。球数こそ多いものの、試合をまずまずつくり打撃でも貢献している。エースだったら物足りないけれども、先発ローテーションの5番手、6番手なら十分に合格点を与えられる。今のサイスニードが何番手かはさておき──。
これで6試合に先発して2勝1敗、防御率4.50。QS(6回自責点3以下)の達成は一度もないけれども、防御率はQSとなる6回自責点3と同じ。評価に困る選手だ。
投球時の落ち着きもない。サイン交換も長い。走者を出すとカリカリしている(ように見える)。それでも自分を落ち着かせるかのように、球が高めに抜けたあと胸に手を当てなにやらつぶやいていた。自分でも認識しているのだろう。それをどうにかして抑え込み、本来の投球を心がけようとしている。諦めず、さじを投げない。豪快なひげとは対照的だ。
とはいえ、この内容で首脳陣が合格点を与えるのかはわからない。
サイスニードは若手選手ではなく「助っ人」としてやってきた外国人選手なのだ。他の外国人選手や高梨裕稔、金久保優斗といった先発ローテーション投手候補たちの状況にもよる。数年前にデーブ・ハフを中継ぎに転向させたような配置転換という未来だってある。
でもどんな役割を命じられたとしてもサイスニードは自分を落ち着かせて、不貞腐れることなくチームに貢献しようとしてくれるのではないだろうか。なんてったって自分を落ち着かせる術を知っているのだから。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000668
※ヤクルト公式HPより