2021年8月20日(金)
広島[5-4]ヤクルト(マツダ)
松山から船で乗り込んだ広島の地。例年なら赤く赤く染まるはずのマツダスタジアムもまばらだ。もちろん歓声は(ほとんど)ない。なにかが起こると一斉にどよめく。それが画面からも伝わってくる。
そのどよめきが折り重なったのが6回の表ではなく裏。すなわち広島の攻撃中だった。ヤクルトは4-0の4点リードから被弾、失策絡み、記録に残らない守備のミスで一挙5失点。逆転を許してしまった。コロナ禍ではなく満員だったならばもっと圧を受けていたのだろう。
点差は1点。ホームラン1本でいい。もしくは球界最高峰の代打陣による連打と小技による合せ技でもいい。とにかく1点がほしい。その願いも虚しくホームベースは遠かった。
とくに8回からは5者連続三振。広島の継投策の前に走者を出すことさえできず、揺さぶりをかけることもできなかった。東京オリンピックであんなにも頼もしかった栗林良吏は圧巻だった。思えば菊池涼介にソロホームランを浴び、鈴木誠也に同点打を許した。さすが侍たち。お祭りが終われば敵になるんだった。
とはいえ同じ侍の村上宗隆も負けてはいなかった。3試合連発そして2打席連続となるホームランでリーグ最速の30号到達。マツダスタジアムのファンも度肝を抜かれただろう。
その村上は8回の第4打席で空振り三振に倒れた。フルカウントからの最後の1球はハーフスイング。塁審にジャッジを求めることなく球審にスイングを宣告された。
ハーフスイングへの抗議は退場になる。
それを知ってか知らずかは判断できないが、高津臣吾監督もベンチも動かない。受け入れるしかない。
村上の表情は驚きとも諦めともつかない複雑な表情。画面の前のファン(ぼく)はため息。それでも村上はその場で不満を漏らすことなく、バットを投げ捨てるなどの行為もなくベンチに下がっていった。
あたりまえの行動かもしれないけれども、ここで悪態をつく選手はたくさんいる。ヤクルトにだっている。それでも村上は出さなかった。選手の言動、態度、行動はチーム内外に大きな影響を与える。今は映像が残りSNSなどで拡散されることだってある。
そこまで考えての行動かはわからないけれども、すべてを受け入れ次の機会を待つ。
打つだけじゃない。侍とはこういうものだ、と教えられた気がした。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000662
※ヤクルト公式HPより