2021年8月27日(金)
ヤクルト[0-4]DeNA(東京ドーム)
4点差の9回のマウンドに登ったのは復活を期する石山泰稚だった。”暫定的な本拠地”である東京ドームで夢色傘が流れる少しの違和感。暑くもなく寒くもないもちろん虫などいないそんな快適な環境。そんな不自然さを拭い去るかのような快投を見せた。
この試合の先発だった奥川恭伸が自己最速を更新する155キロを投じたなか、石山の最速は151キロだった。それも最後の最後。それまでのストレートは140キロ代後半とあまり速く感じなかった。それでも2つの空振り三振を奪い三者凡退。9回のスコアボードに「0」を刻んだ。
4点差の9回を石山が本来であればゲームセット。石山と中村悠平が握手を交わし、ベンチから次々と選手が飛び出してくる。でもこの日は違った。9回に4点差と言ってもリードではなくビハインドの展開だったから。その裏の攻撃がまだ残っている。
しかし攻撃陣への期待は薄かった。4点ビハインドを跳ね返す力は残っていない、そう感じた人が大半だっただろう。「代打・宮本丈」「代走・渡邉大樹」の2枚は切る機会もなく温存。予想を覆すような奇跡など起きるわけもなく淡々と敗れた。
静岡での二連戦でも打撃陣は苦しんだ。ホームランは0。なんとか得点は挙げているものの相手のミスが絡んでいることが多く、力でねじ伏せるような展開はなかったに等しい。
それでも大崩れしていないのは投手陣の踏ん張りにほかならない。静岡での高橋奎二(6.2回1失点)、石川雅規(5回1失点)、そして今日の奥川恭伸(6.2回3失点)と先発投手たちは試合は作った。マクガフの暴投はあったにせよ中継ぎ陣も力を見せている。
そして石山。好投し勝ちパターン復帰のチャンスを得ると、そこで失点してしまう。なかなか歯車は回らない。それでも6年ぶりの優勝へ向け、3年ぶりのAクラス入りへ向け欠かせないピースの1人だ。だからこそ高津臣吾監督も場面を変えながら生かすことを考えている。
2015年のリーグ優勝時、翌日の先発予定だった石山は広島にいた。グラウンドで行われた歓喜のビールかけに参加していない。今年こそ。今の状態では胴上げ投手になるのは厳しい。それでもファン(ぼく)は残りの2ヶ月半で、暫定的なポジションではなく、本来のそこに戻ってくるんじゃないかな、と淡い期待を抱いている。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000694
※ヤクルト公式HPより