坂口智隆の復活が与える脅威 | ヤクルトが好き

坂口智隆

2021年8月28日(土)
ヤクルト[2-2]DeNA(東京ドーム)

淡々と進んだ試合の幕切れはあっけなかった。2−2の同点で迎えた9回。2死から代打・中村悠平がヒットを放ち満を持して代走・渡邉大樹が起用される。そして打席には代打・坂口智隆が入った。

実績を考えれば代打の切り札でもおかしくはない坂口も、今のヤクルトでは川端慎吾、宮本丈に続く三番手と苦しい立ち位置だ。裏を返すと左の代打の層は12球団随一ということになる。

今シーズンの坂口は開幕直後に自打球で離脱したこともあり、ここまでノーヒットでは致し方ない。後半戦から一軍に復帰したものの、代打で6度出場し5打数ノーヒット1四球。外野に飛んだ打球が0では何も言えない。何も言わない。そんな坂口が復活すれば相手からするとさらなる脅威になる。だから復活を。そんな思いを込めて見守っていた。

同点の2死一塁。ホームランが出れば最高だが、坂口はそういうバッティングをしない。右方向への安打で一、三塁にするのが役割とわかっている。思い描いた通りの打球がライト前で弾む。一塁ランナーの渡邉は勢いよく三塁へ滑り込む。

すべてがうまくいった、のはDeNAだった。ライトを守るオースティンのストライク返球が宮﨑敏郎のグラブに収まり場内は静まり返る。リクエストを要求するまでもない完璧な送球でタッチアウト。今日2度目の捕殺を最高の場面でやってみせた。舐めるなよ、と言わんばかりの涼しい顔。

思い返すと渡邉は同じようなプレーを7月の神宮で見せていた。今度は自分がアウトになるとは夢にも思っていなかっただろう。

試合は終わったけれども、坂口に待望の今シーズン初安打が生まれたことには変わらない。この日、代打でヒットを打った宮本もうかうかしてられなくなった。

代打にも序列があり、途中出場する選手たちは守備位置の問題もある。宮本は二塁、三塁、両翼をなんとか守る。が、二塁は山田哲人、三塁は村上宗隆。大差がつかない限り守備から外れることはない。両翼は不安がある。

一方の坂口は一塁に外野を3つ。坂口のほうが守備にはつきやすい。山崎晃大朗が登録を抹消されている今、センターを守れる控えは坂口しかいない。前日のように塩見泰隆への代打から守備につくオプションもある。守備まで考えた起用をするには坂口のほうが勝手がいいのは明らかだ。

選択肢が増えることは見ている分にはおもしろい。もちろん高津臣吾監督も嬉しいはずだ。が、その裏側には激しい争いがある。レギュラーだけではなく代打の序列争い。こんな楽しみ方ができるのはきっと幸せなんだろう。

坂口の復活は宮本への脅威にもなる。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000700
※ヤクルト公式HPより

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