奥川恭伸が絶対的エース不在を救う日 | ヤクルトが好き

マウンド

2021年9月1日(水)
巨人[2-0]ヤクルト(京セラドーム大阪)

隣の芝生は青い。真っ青、いや、顔面蒼白と表現したくなるような青さ。青すぎる。エースってこういうものなのか、というものを教えられた。

巨人の絶対的エース菅野智之は圧巻だった。今年は調子が悪い、とか前回は6回5失点と打ち込まれているだとかそんなものは一切関係ない。8回無失点、被安打1、奪三振8(108球)とほぼ完璧な内容で抑え込まれた。外野に飛んだ打球はわずかに3つ。試合時間は2時間13分。全盛期の上原浩治が蘇ってきたかのような試合展開だった。

ヤクルトの先発・高橋奎二だってチェンジアップが冴え渡り7回2失点。そのチェンジアップの失投を丸佳浩に被弾したが、悪い内容ではなくむしろよかった。それでも負けた。

前日の試合で「エース」と称されることの多い小川泰弘で落としただけに、なおさら相手のエースの存在が大きく見える。

思えば(定義は人それぞれだが)絶対的エースという存在がヤクルトに長らく存在しない。

今年はさておき菅野や先の上原、2013年までの田中将大(楽天)や松坂大輔(西武)、ダルビッシュ有(日本ハム)、斉藤和巳(ソフトバンク)、金子千尋(オリックス)、前田健太(広島)……この投手が予告先発で来たら相手が青ざめるそんな投手たち。

ヤクルトにもエースと呼ばれる投手はいた。石川雅規や小川もそうだし館山昌平だってそう呼んでもおかしくはない。でも、それはチーム内でのエースであり球界を代表するようなスーパーエース、いわば絶対的エースではなかった。

彼らは2ケタ勝利を挙げているし、タイトルも取った。それでも相手チームのファンからも恐れられるような、「うちの試合では投げないでほしい」と忌み嫌われるような存在になっていたかというと疑わしい。いい投手だけど…絶対的という存在ではなかった気がする。

前の絶対的エースが金田正一なのか松岡弘なのか川崎憲次郎なのか石井一久なのかわからないけれども、長い期間そういった存在がいないのはたしかだ。が、その不在を埋めそうな存在がいる。高卒2年目の背番号「11」奥川恭伸。

今シーズンはまだまだ修行中。三者連続被弾するなどまだまだ青い。投げ抹消の繰り返しではエースとは到底呼べない。まずは中6日でローテーションを守ること。これは近い将来──おそらく来シーズン──達成できるだろう。

そしてその先。勝利を積み重ねること。圧倒的な投球でねじ伏せること。相手に絶望感を与えること。今のチームでこれらができそうな唯一の存在である。

奥川という芝が成長し絶対的エースとして菅野らと肩を並べる日はそう遠くない。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000718
※ヤクルト公式HPより

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