石川雅規の不思議 | ヤクルトが好き

石川雅規

2021年9月13日(月)
中日[1-0]ヤクルト(バンテリンドーム)

事実は小説より奇なり──というのはこういうことなのだろうか。9回表の複雑なプレーの結末は後味が悪かった。一晩明けて振り返ってみても、朝起きて歯を磨いてみても、頭を洗ってみてもかんたんに水に流すことはできていない。当事者ではないファン(ぼく)が、水に流す必要というのもおかしな話だけれども。

もうひとつ、事実は小説より奇なりと表現したいことがあった。石川雅規である。

この日の石川は初回から打ち込まれ4安打1失点。2回は立ち直ったものの、3回には2安打1四球で1死満塁のピンチを招く。前日に引き続いての早期ノックアウトもあり得る展開。ブルペンでは誰かが肩を作り始めていてもおかしくはない。

この場面、石川の投球スタイルを考えれば内野ゴロ併殺が理想であり、もっとも想像しやすいアウトの重ね方だった。併殺崩れの1失点はやむなし。

それがどうだろう。堂上直倫、高橋周平という高卒のドラフト1位コンビを連続三振に切ってとりピンチを脱した。150キロを超えるような豪速球はない。いや、ストレートは140キロにも届いていない。巧みな変化球とのコンビネーションでドラ1(自由枠)の先輩としての意地を見せた。この石川の投球を同じドラ1の原樹理はどう見てるんだろう。そんなことも頭をよぎる。

あれよあれよと投げ切り6回1失点91球と試合を作った。6回を投げ終わり7回の攻撃に向かう前の円(燕)陣にも加わった。おそらく交代だろう。本人もわかっている。それでも戦う姿勢を取り続けたのは熱さ、同時に切なさも覚える。こんな感情は石川にしか沸き起こらない。

初回から崩れそうだったのに6回を投げきり1失点にとどめた。これで5試合連続で5回以上を投げ自責点1以下。その間の成績は0勝1敗、防御率1.29。それなのに不思議と勝ち星がつかない。打線が強力、破壊力は球界一と称されることも多いヤクルト打線が相手投手から点を取れない、という事実が重い。

勝ち星は相手投手との兼ね合いもある。だが、この5試合でエースクラスの投手はひとりもいない。投げあった投手は順番に勝野昌慶(中日)、直江大輔(巨人)、松葉貴大(中日)、山口俊(巨人)、小笠原慎之介(中日)。もちろん好投手たちではあるが、今シーズンの彼らがエース級かといえばそうではない。

むしろそれまでの3勝を挙げたときの相手投手のほうが手強く見える。今シーズンの開幕投手だった髙橋光成(西武)に石川柊太(ソフトバンク)、そして投手三冠も視界に入る柳。マッチアップでは苦戦を強いられそうな相手のときに勝ち星がついている。不思議だ。

今シーズンのヤクルトはBクラスの予想が大半以上だった。そして石川は期待こそすれど苦しそうということも囁かれていた。昨シーズンがぶっちぎりの最下位、石川は2勝8敗、防御率4.48。そして開幕二軍スタートということからそう思われるのはしょうがない。

それでも蓋を開けてみれば優勝争いを繰り広げ、石川は復活し好投を続けている。シーズンが終了したとき、どのような事実(こと)が起きているのだろう。

野球とは筋書きのないドラマである、と言われる所以の一例になることを願っている。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000779
※ヤクルト公式HPより

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