2021年9月14日(火)
ヤクルト[4-4]阪神(神宮)
緊張感に包まれた秋になりそうだ。終始、ピンチを招く苦しい試合展開。そのなかで吠える投手達は頼もしかった。
143分の1ではあるけれども、この時期にこの順位で戦えるのは大きな喜びだ。首位の阪神と3.5ゲーム差の3位ではじまり、引き分けたことと2位の巨人が敗れたことで2位に上がった。
1年前の9月13日(9月14日は試合がなかった)。ヤクルトは26勝40敗6分、勝率.394ですでに最下位。首位の巨人とは18.5ゲーム差あり、3位のDeNAから7.5ゲームも離れていた。
120試合制、シーズン開幕の延期があり通常のシーズンとは感覚が違う。とはいえ、残り48試合で優勝や3位争いに食い込めるかと言われればそれはNO。軽い絶望だった。
2年前にあたる2019年の9月14日は134試合を消化しており54勝78敗2分、勝率.409。首位から19ゲーム離された最下位であり、5位の中日とも9ゲーム差あった。
この2年を経てのこと。今年の試合観戦は(気持ちだけかもしれないが)背筋が伸びてもなんらおかしくはない。戦っている選手たちはなおさらのことだ。
緊張感が走り、熱く盛り上がったシーンの連続だった。
5回、緊急登板でもルーティーンであるマウンドでのお辞儀を欠かさない律儀な大西広樹。この日は回の途中から。人だかりのできるマウンドではなく、打ち合わせが終わりバラけた後にするのは遠慮からだろうか。無死満塁を無失点で切り抜けたあとの咆哮。優勝を決めたかのような感情表現はファン(ぼく)を震わせた。
そして6回は三者連続三振の星知弥。7回は1点を失い、なおも無死一、二塁から追加点を与えなかった今野龍太。3人の熱投は多くのファン(ぼく)が心を打たれた。
とくに大西と星は勝ちパターンではなく、出番は固定されていない。この試合でいうと、大西のように火消し的な場合もあれば、星のように僅差の勝ちゲームの6回を任されることもある。一方で大差がついた試合で投げることもあり、勝ち星やセーブ、ホールドといった目に見える数字に成果は現れにくい。それでもチームには欠かせないことは明らかだろう。
彼らのような勝ちパターン+α(プラスアルファ)の存在は重要だ。2015年にリーグ優勝を勝ち取ったときは「ROB」と呼ばれたロマン、オンドルセク、バーネットに加え秋吉亮(現日本ハム)の存在が大きかった。
秋吉の出番は固定されず、さまざまな場面で起用された鉄腕。2年目ながら当時の球団記録となる74試合に投げ6勝22ホールド、防御率2.36の成績を残した。「困ったら秋吉」とファン(ぼく)の中ではキャッチフレーズが付いていたほど。
今の大西や星に秋吉2015ver.の働きを求めるのは少し酷だ。秋吉はずば抜けていた。でもふたりでなら、いや二軍調整中の梅野雄吾も加えた3人なら……。秋吉のこなしていた役割以上のことを担うことができる気がする。
後から振り返っても数字ではわかりにくい、中継ぎ投手たちの吠える姿を脳裏に刻み込む。そんな秋が楽しい。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000781
※ヤクルト公式HPより