甲子園で見せたキャプテン山田哲人の大仕事 | ヤクルトが好き

甲子園球場

2021年10月20日(水)
阪神[0-0]ヤクルト(甲子園)

緊張感があふれる2時間43分だった。

優勝を争う2チームが戦う天王山にふさわしい投手戦。ヤクルト先発の高橋奎二も阪神先発のガンケルも十分に間隔を経ての登板だった。万全な仕上がりでこの試合に臨んだのだろう、それが遠く離れたレフトスタンドにも伝わってくる。

圧倒的なストレートとカーブ、チェンジアップの緩急さを駆使する高橋とコースと高さを間違えない制球力で攻め込んでくるガンケル。両者の攻め方は異なっていたけれどもスコアボードには「0」が刻まれていく。

沈黙と静寂が続き、溜息が交じる。

その高橋は5回にピンチを招いた。連打を浴びて無死一、二塁。この初めて得点圏に走者を背負った。この試合は1点が重い。ベンチも選手もファン(ぼく)もみんなが思っている。

ここで高橋が気負いすぎるとやられる。たかが1点、されど1点。異様な雰囲気の敵地甲子園で跳ね返すことができるかというと”絶対大丈夫”と言い切れない。兎にも角にも重苦しい展開が一帯を包み込む。

それをすかさず察知したのが山田哲人キャプテンだった。

去年までの山田は声をかけに行くことは稀であり、内野では大引啓次や村上宗隆が2015年以降がその役割を担っていた。大引が引退してからは村上の声かけが度々クローズアップされている。

そんな山田が今年は変わった。村上が声をかけに行くシーンよりは少ないかもしれない。それでもポイント、ポイントで自らの意思でマウンドへと歩みを進める。

キャプテンとして自覚なのか本能的なものなのか。熱視線を送られそうなこのタイミングで誰よりも早くマウンドの高橋に声をかけた。ファン(ぼく)の緊張も和らぐ。

何を話したのかはもちろんわからない。声かけをすることで次の打者を抑える確率が上がる、なんて話は聞いたことがない。データが支配しつつあるプロ野球で”声かけ”なんて曖昧なものは排除されてしまうのかもしれない。それでもキャプテンの声かけのあと、高橋はピンチを脱した。

甲子園での2試合で胴上げを決めることはできなかった。打線は2試合連続で無得点。長打は1本も出ていない。山田自身も4打数1安打(1試合は欠場)と苦しんだ。3番打者としての仕事を果たすことはできなかった、と言わざるを得ない。それでもキャプテンとして”声かけ”という重要な役割を果たし引き分けを呼び込んだ。

まさにファン(ぼく)の信じる山田キャプテンの姿。闘志をむき出す青木宣親のようなスタイルとはちがう。そんなキャプテンもすごくいい。またひとつ新しい山田が別名で保存された。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005071
※ヤクルト公式HPより

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