2022年5月17日(火)
ヤクルト[2-1]阪神(神宮)
淡々と負け…なかった。1週間前に見たような展開。ソロホームランによる1点で押し切られそうだった。それを土俵際でうっちゃってのサヨナラ勝ち。終わりよければすべてよし。この試合に関してはまさにそうだった。
どれだけ粘っても、どれだけ抑えても相手より点を多く獲れなければ負けてしまう。これはプロ野球。アマチュアスポーツではないのだから、現場としては”負けてよし”とはなかんかならない。
”頑張ったからOK”ともならない。相手を含めて頑張ってない選手や首脳陣など1人もいない。特に選手はそうだろう。頑張ったからスタメンで、先発ローテーションで、勝ちパターンで、起用されるかというとそんなことはない。
それがまかり通るのであれば、選手間アンケートの「練習の虫、といえば誰?」で73.1%(2位は高梨裕稔らの3.8%)とぶっちぎった宮本丈は不動の4番。なにがあっても外されない。大黒柱になっていないとおかしい。でも実際はそんなことまるでない。スタメンで出たり出なかったり、最悪の場合、ベンチ枠から外れることだってある。
そんな宮本がこの日も魅せた。1点ビハインドの8回無死一塁。ここで代打として打席に入ると、きっちりバントを決めた。
バントをしにくい高めのストレートに対して初球はファール。ボールはバックネットまで飛んでいった。ため息が漏れ不安がよぎる。そんなファン(ぼく)のおもいをよそに2球目も同じような球を一塁線にうまく転がした。
野球選手は生まれ持った才能に練習という努力が合わさって実力に変わる。努力だけで、だれもがイチローや大谷翔平のような実力を手に入れられるわけではない。でもバントは努力次第でいかようにもなる(と思っている)。その成果を見せた。
結果だけを見ると、ピンチバンターとして代打起用されたように見える。でも(恐らく)そんなことはない。前の打者である8番・長岡秀樹が打席にはいったときからネクストでは宮本が準備していた。長岡が出塁したのはたまたまで、アウトになっていたらバントではなくヒッティングだったはずだ。
ビハインドの展開で8回の下位打線。ここを逃すと(宮本に限らず)代打陣の出番がない可能性もある。今の打線を見ると切りどころが他にない。チャンスでなくても1番手が出てきておかしくないシチュエーション。そこで宮本が選ばれたことの意味はとても大きい。数試合前から代打の序列が変わった。それを決定づけるかのような起用に見えた。
宮本に一発の魅力はないかもしれない。それでもバントができ、エンドランができ、反対方向を狙う打撃だって。様々な作戦を遂行できる。そんな万能な代打の切り札がとても誇らしい。
とはいえ、レギュラーを掴むには何かが足りない。その完全無欠じゃない感がたまらなくいい。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005679
※ヤクルト公式HPより