2022年5月29日(日)
楽天[3-1]ヤクルト(楽天生命)
負けに不思議の負け無し──。野村克也元監督の言葉がリフレインする。エラーが失点に結びつき、チャンスで主軸が不発。そしてそのまま敗れた。
先発が石川雅規の試合でこの負け方は幾度となく見てきた。とはいえ、この試合の石川は与四球が多く3つあり、球速もあまり出ていなかった。これは他の投手と比べての話ではなく、石川の過去の投球と比べてみて、の話。
炎天下だからとか、普段あまり投げない球場だからとか、中13日といつも以上に登板間隔が空いていたからとか、考えられる理由はいくつもある。見当外れなのかもしれないし、どれかが正解なのかもしれない。でもそれはあまり重要ではない。
あまり投球内容がよくなかったという事実、そしてそこにエラーが絡んだという事実、さらに援護がなかったというこれまた事実のあわせ技で、5回1失点ながら敗戦投手となってしまった。今シーズン3敗目であり、通算では179敗目だ。
この179敗はNPB史上13位の大記録となっている。12位は三浦大輔(現DeNA監督)の184敗。それより上は金田正一(298敗)をはじめとして2000年代、いや1990年代、いやいや平成より前の投手たちだ。ある意味、歴史上の人物でもある。そんな大投手たちに平成の石川は続いている。
もちろん野球において負けの数は少ないほうがいい。でも負け数が多いのは信頼の裏返しとも取れる。負けてもなお、次の登板があり、戦力外にならず投げ続けることができるのは、同時に勝っているからであり、選手生命を絶たれるような大きな怪我をしていないということでもある。
それだけの信頼を石川が勝ち取っているのは、この日のように調子が今一つで勝てなかったとしても最低限の投球ができ、試合を壊さずにイニングを進めていくことができているからだろう。これがエラーからとはいえ1回に5点も6点も取られていたら、四球を3個じゃなく5個も10個も出していたらこうはならない。
負けの数は信頼の証。最低限のレベルの高さ。それを裏付けるような試合、いや石川の投球だった。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005742
※ヤクルト公式HPより