2022年5月19日(木)
ヤクルト[3-0]阪神(神宮)
1-0と1点リード。7回裏のブルペンに入ったのは今野龍太だった。ついにきたか。セットアッパーの座に今野がつく。時は満ちた。
ここ数試合、8回は空白だった。清水昇がアクシデントによる負傷で離脱しても、1人の投手で固定されることはなく、田口麗斗や梅野雄吾が起用され、時には2人で任されたこともあったほど。不思議なことに7回の今野が繰り上がることはなかった。
梅野がコンディション不良で離脱したからなのか、今野の状態がすこぶる良かったのか、それとも両方なのかはわからない。とにかく1点リードの8回に今野がマウンドに向かうことになる、だろう。その事実が浮かび上がった。
今野は幾度となく話題にあがるが、楽天を戦力外となってからヤクルトにやってきた苦労人。先発が崩れた際のロングリリーフから、ビハインド担当を経て昨シーズンは”7回の男”に定着した。
今シーズンはコロナの影響で出遅れたけれども、一軍に昇格後はすぐに定位置に戻り、コツコツと実績を積み上げてきた。
150キロを超えるストレートやとんでもない変化球があるわけではない。140キロ台中盤から後半のすトレードにフォーク、カットボール、そしてカーブ。極めてオーソドックスな球種構成。それでも空振りを多く奪い、奪三振率は先発と中継ぎ含めてもチームトップだ。
ヤクルトにやってきた当初はブルペンでの動きもどこか忙しなかった。それが今は落ち着いている。単純に年令を重ねたからなのか、役割がはっきりしたからなのか、それとも立場が人を作るのか。
とにもかくにも「大丈夫そうだな」そんな雰囲気が醸し出されるようになった。これは誇張でもなんでもない。とはいえ、数字で表すことなどできないけれども、本当にそう見えるのだから仕方ない。
リードは1点だけれども大丈夫だろう。そんなオーラが本当に見える。
肩を作り始めてから打線は2点を奪い、1-0から3-0へと局面は変わった。けれども、今野の様子は変わらない。もちろんマウンドで気が緩む姿など微塵もない。
7回無失点の小川泰弘から受け継いだバトンを9回のマクガフへと1回無失点で繋いだ。記録としては1ホールド。7回でも8回でもなんなら6回でも条件を満たせば同じだ。それでもチームの中における序列はぜんぜん違う。
中継ぎの中ではマクガフに次ぐ存在。それが昨日の今野だった。清水が本調子になった時、”8回の男”はどちらになるのだろう。ここでも戦いが繰り広げられるのか。
楽しみがまたひとつ増えた。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005691
※ヤクルト公式HPより