2021年5月19日(水)
阪神[3-1]ヤクルト(甲子園)
ひとりの青年がプロ野球の世界で第一歩を踏み出した。一軍ではプロ初登板だった西純矢(阪神)だ。西は奥川恭伸と同学年であり、同じドラフト1位で阪神に入団した逸材。
目をみはるような投球ではなかったが、それでも”初物”だからなのか”適度に荒れている”からなのかヤクルト打線は打ちあぐねた。というよりも5回無安打無失点という結果を見ると、捻られたというのが正解なのかもしれない。
しかも西は”もって”いた。代打を出された直後に近本光司が本塁打を放ち、勝利投手の権利が転がり込む。中継ぎ陣もそのリードを守りきった。
同学年の宮城大弥も奥川もそして佐々木朗希も達成できなかった初登板初勝利を成し遂げた。いろいろなめぐり合わせもあって一軍デビューは最も遅かったけれども、しっかりと勝ち星を掴み取ったのはさすがだ。今日はやられたけれども、次回はこの借りを返させてもらう(選手が)。
さて、試合には負けたけれども、8回までノーヒットだったけれども光るプレーはもちろんあった。まずはサンタナ。イージーなフライを丁寧に両手でキャッチ。てきとうに捕ろうとしてエラーしたら苦虫を潰したくなるけれども、あれだけ丁寧な所作を一生懸命やっているところを見せられたら何も言えない。ほんとうに憎めない。ちょっとずるい、とさえ思えてしまう。
そしてなんと言っても試合終盤に見せた塩見泰隆のスライディングキャッチが熱かった。2点ビハインドの8回裏。2死で走者もいない。シチュエーションとしては至って普通のところ。なんなら無理をする必要だってない。
先日、並木秀尊が見せた僅差でリードしている終盤のダイビングキャッチとは状況が違う。それでも塩見のプレーがこの日一番のプレーに見えた。
GAORAの解説も「捕りました。ファインプレー。さすがの塩見。(打った)山本ヒット一本損しました。いい感じの打球ではありましたが。塩見素晴らしいプレー」と絶賛したほど。
捕球後に左翼を守っていた青木宣親と笑顔でグラブタッチ。この日ノーヒットだった青木さんの笑顔が捉えられた貴重な瞬間だった。
塩見の守備。送球の判断や連携で「ん!?」と思うことはすごくある。でも、身体能力は一流選手のソレ。先日のバックホーム然り。そしてなによりダイビングキャッチではなく、スライディングキャッチを選択したところにぼくは惹かれた。
「走り抜けたほうが早く捕球できる。そして故障防止」
このイチローさんの教えを知ってから、ぼくもスライディングキャッチ派になった。MLB移籍後初めてイチローさんがダイビングキャッチをしたのは10年目のシーズンのこと。外野手としてほぼフル出場し10年連続ゴールドグラブ賞を受賞していながらこれはすごい。
振り返ってみると塩見のダイビングキャッチは記憶にない。もしかしたらイチローさんを崇拝しているのかもしれない。だが、メモを取っているわけではなく、確かな証拠はどこにもない。これから外野手のスライディングキャッチ、ダイビングキャッチをメモしておこうと誓ったのである。
なんでもない場面で突如として現れる最高のプレー。試合には負けたけれどもいいものを見た。これだから野球は最後まで目が離せない。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000364
※ヤクルト公式HPより
記事参考:https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2010/04/13/kiji/K20100413Z00002080.html
※イチローのダイビングキャッチ