2021年9月21日(火)
DeNA[2-5]ヤクルト(横浜)
うかうかと我門すぎる月夜かな(夏目漱石)
村上宗隆の満塁ホームランでこんな俳句を思い出した。月夜に見とれて家を通り過ぎてしまった漱石の気持ちが目に浮かぶ。村上の一発に見惚れて気分が良くなり、驚きとともにぼんやりとしてしまったファン(ぼく)は多かった(はず)。
漱石は東京で生まれ松山そして熊本に赴任した。どこかヤクルト、そして村上と縁がある。
この日の村上はこのホームランを含めて2安打を記録した。今シーズンは意外にも村上は横浜スタジアムで苦しんでいた。セ・リーグの本拠地ではもっとも打てていなかったのである。それが打率.211(19-4)、1本から打率.261(23-6)、2本へとわずかながら上昇した。
投手では3番手の今野龍太も横浜スタジアムを大の苦手としていた。今シーズン初失点が4月1日の横浜スタジアム。最多失点(5失点)が5月1日のこれまた横浜スタジアムだった。苦い思い出。いずれも1回を投げきることなく、マウンドを後にしている。
それから4ヶ月半。今シーズン3度目となった横浜スタジアムのマウンドで、今野は2死から連打を浴びてピンチは作った。それでも最後は佐野恵太を空振り三振に打ち取り、捕手の中村悠平はガッツポーズ。役割にまだ名前のなかったときとは違う。7回の男となった今野の成長は月夜に光った。
優勝するうえで、タイトルを狙ううえで対戦相手や球場の苦手を作らないことは大事なこと。横浜スタジアムでの試合は残り3試合とはいえ、それを主軸選手ふたりが苦手を克服したのは明るい兆しだ。
苦手を克服する──思えば今シーズンは阪神に3連敗を喫し始まった。そこから阪神相手に7連敗。負けに負けた。阪神戦は憂鬱だった。それが9月に入ってからは3勝1敗1分と克服している。
巨人に対してもそうだ。6月末の時点では3勝8敗1分とお得意様にされていた。それが9月に入ってからは1勝1敗2分と五分で戦えている。
卵が先か鶏が先かはわからないけれども、選手もチームも苦手をひとつひとつ克服している。
残り31試合。高津臣吾監督のこころに響く言葉の力も借りることで、あといくつの苦手を克服できるのだろう。どれだけの苦手を克服できるかが明暗をわける。そんな気がする。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000812
※ヤクルト公式HPより