2021年6月20日(日)
ヤクルト[2-1]中日(神宮)
夏がやってきた。午後1時開始のデーゲームはかなり堪える。灼熱地獄に耐え、腕を真っ赤に染め上げながらも見守った2時間48分はまるで花火のようだった。
試合開始から相手先発の勝野昌慶の前に凡打の山。四球で出塁するも得点には至らない。奥川恭伸の頑張りもあり0-0のまま試合は進むも、どことなく雰囲気は重苦しい。なんせ6回を終えてノーヒットなのだから。
試合が動いたのは7回。これは偶然ではなく必然だったと思う。というより、動くとすればここしかない。
7回の表、プロに入ってから初めて奥川が登った。と同時に、ライト・サンタナとのキャッチボール相手が宮本丈から渡邉大樹へと変更になった。ここで予感する。裏の攻撃は6番から始まることもあり、8番古賀優大、9番奥川のところに代打が出るだろう。宮本はその準備をしている(に違いない)。
7回2死から代打で登場した宮本はの一振りが試合を揺り動かした。2球目を鮮やかなセンター前。ほっと胸をなでおろす。重苦しい雰囲気は散っていく。一塁に到達したところで代走山崎晃大朗が送られ、お役御免。こんな大御所みたいな扱いを受けていいんだろうか。
本来ならノーヒットノーランという屈辱がなくなり、ほっと一息つくところだがこの日はそうもいかない。なんせ、ネクストバッタズサークルには川端慎吾がいるのだから。
チーム初安打の興奮が解けないまま鳴り響く『悲しみなんて笑い飛ばせ』(FUNKY MONKEY BΛBY’S)。スタンドからの大声はなくても、手拍子で熱気は伝わってくる。
その直後だった。代打の切り札がバットに乗せた夢はライトスタンドに吸い込まれていく。村上宗隆や山田哲人とは違う放物線は鮮やかだった。まるで花火。悠々とダイヤモンドを回っていく川端は美しかった。
この3連戦で第3捕手の嶋基宏をのぞいて、唯一出番のなかった野手・川端が締めくくったのは感慨深い。
出番がなくとも爪を研ぎ、一振りで勝利へ導くのはさすが川端。宮本のチーム初安打は霞んでしまったけれども、川端の一撃なら笑い飛ばせてしまう。ぼくのなかで川端とはそういう存在だ。
が、試合は続いている。8回には1点を失い、回の途中で投手を交代せざるを得ないピンチもあった。その間、ライトとのキャッチボールにやってきたのは仕事を終えたばかりの宮本だった。9回のマウンドに勇者マクガフが登ったときにキャッチボールをしていたのも宮本だった。
代打でチーム初安打を放ち、川端のお膳立てをした宮本の役割はそこで終わりじゃない。自分の出番が終わっても勝利のその瞬間までサポートし続ける献身的な姿。これぞ宮本。あまり目立たないかもしれないけれども、見ているファン(ぼく)はきっといる。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000509
※ヤクルト公式HPより