2021年9月12日(日)
中日[9-5]ヤクルト(バンテリンドーム)
ベテランの背中が輝いていた。かつての背番号「1」。メジャーリーグを知り日本に戻ってきてからもチームを引っ張る侍は数字以上の影響を及ぼしている。
この試合が始まる前までの打率.222、2本、11打点は、お世辞にも好成績とは言えない。10試合程度の消化ならいざしらず、すでに100試合以上を戦ってのこの数字だ。とても主軸を務める打者のものとは思えない。
それでもこの男は「5番・右翼」に名を刻みバンテリンドームの右中間スタンドに値千金の同点ホームランを叩き込んだ。初回に見せた村上宗隆のブルーモンスター超えとはちがう凄み。研ぎ澄まされた集中力は15年前のそれだった。
福留孝介44歳──。
今年から中日に戻り開幕一軍からここまで二軍降格はない。つねに一軍に帯同し73試合に出場している。その存在、影響の大きさは軽々しく語ることなどできない。数字以上のものをチームにもたらしていることは確実だ。
数日前から好調の京田陽太にも一枚噛んでいるという。インタビューで核心は語らなかったが、京田は福留の存在を匂わせていた。「やっぱり、すごい先輩です」と。
打率2割そこそこでホームランも少ない40歳を超えるベテラン。数字だけを見れば戦力外だっておかしくない。現に昨シーズンオフに阪神を自由契約となった。名前を隠して成績と年齢だけを見せられたら中日だって獲得していなかっただろう。でも中日は「福留」という男に価値を見出し年俸3000万円(推定)で契約した。その費用対効果は抜群に見える。
ヤクルトが誇るかつての背番号「1」青木宣親は今年39歳。もちろん大ベテランだが福留はさらに上を行く。神宮球場での試合ではアップの途中に青木が福留に挨拶をしに行く姿も見られる。今、青木の方から寄っていく存在は福留くらいだろう。
今シーズンの青木は少しの休養を取りながらレギュラーとして試合に出場しているが、正直衰えは隠せない。それでも「2番」として相手に脅威を与えているし、代打でも存在感を発揮している。
だがいつまでもこの状態が続くのは健全じゃない。新たな選手が青木からレギュラーを奪わなければチームとしての成長はない。
報道によると青木の契約は2023年シーズンまで。そのときに青木はチームはどんな決断を下すのだろう。
ファン(ぼく)は、数字が下がり肉体が衰えても若手選手たちへアドバイスをし、ここぞで強烈な一撃を喰らわせる青木の姿を想像した。濱田太貴が「やっぱり、すごい先輩です」と青木を語るところまでがセットになっている。代打の切り札プラスアルファ。
レギュラーとしてチームを引っ張るだけじゃなく、その先にもまだまだ役割はある。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000774
※ヤクルト公式HPより
記事参考:https://www.chunichi.co.jp/article/328059?rct=dragons
※京田陽太コメント