2021年9月24日(金)
ヤクルト[3-0]中日(神宮)
数少ないチャンスをモノにし完封リレーで締める横綱相撲。3点という点差以上の完勝だった。
中日の先発は絶好調の大野雄大だった。ここ4試合連続でHQS(7回以上自責点2以下)という安定感をもった日本代表左腕。たくさんのチャンスを作れるほど甘い投手ではない。
得点シーンが生まれたのは3回の1度だけ。塩見泰隆がツーベースを打ち、青木宣親がタイムリーで返す。1死後に村上宗隆が逆方向への一発を決める。3安打で3得点。四球もエラーも絡んでいない。まさに自力でもぎ取った龍(虎)の子の3点だった。
彼が降板する6回までに放ったヒットはわずか5本。そのうち2本出た長打がいずれも得点に結びついた。長打は正義。ホームランは大正義を体現した。
攻撃で熱く盛り上がるシーンは中盤以降、”ほぼ”訪れなかった。4回以降のヒットはわずか3本ですべてがシングル。バントも決まらず進塁打さえ打つことができなかった。その結果、二塁を踏むことすらできなかったから当然かもしれない。
それでも”ほぼ”と書いたのは理由がある。
7回を無失点で投げ終えた高梨裕稔に回るその裏の攻撃のこと。
いくら好投をしているとはいえ球数はちょうど100球。久々の一軍登板。優勝争い。複数の要素から代打を送られることは明らかだった。
8番・坂口智隆からの攻撃。当然、8回は上位打線に回る。僅差の勝ち試合。ここが唯一と言ってもいい代打の使いどころになる。
相手は左腕の福敬登。ネクストバッターズサークルに現れたのは代打の切り札・川端慎吾や宮本丈でも右の代打・荒木貴裕でもなく明らかに大きいフォルム。前々日の試合で負傷交代した背番号25・サンタナだった。
3点リードから1点でも追加したい場面。川端や宮本が塁に出て上位が返す、というシナリオもある。だけれども、それ以上に一振りで決めることができるサンタナのほうが相手も嫌だろう。もちろん試合から外れていることによる調整の意味合いもあるかもしれない(試合後のインタビューでそうあった)。
結果は大きな大きなライトフライ。追加点を挙げることはできなかったけれども、代打に対するファン(ぼく)の視線はいつもと違った。
今シーズンのヤクルトの代打陣は球界トップクラスの脅威を誇っている。悪魔的なバットコントロールで代打安打の日本記録を狙う川端。その川端をしのぐ代打打率、出塁率を誇る宮本の二枚看板は強力だ。
一方で代打によるホームランあは川端の1本だけ。これは阪神と並んでセ・リーグワーストであり、一振りで決めることができる選手はいなかった。
僅差の試合終盤で出てくる相手投手は強力だ。チャンスを作ることはもちろん連打で繋ぐことも簡単ではない。そのときに欲するのは長打でありホームランだ。
その魅力を持ったサンタナが代打で出てきたときは、チャンス川端とは違う高揚感に支配された。あ、川端が持つ天才的な魔力とサンタナの持つパワーの魅力は違うベクトルなんだな、そう頭で理解するのに時間はかからなかった。
サンタナが完全復帰するまでの間、終盤の代打攻勢がますます楽しみになる。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000828
※ヤクルト公式HPより
記事参考:https://www.sanspo.com/article/20210924-QKKJ2RVMGRKFDB56ZTFKTHVRHY/
※サンタナの状態