2021年9月23日(木)
DeNA[2-4]ヤクルト(横浜)
中秋の名月で始まった横浜での3連戦の最後に星が輝いた。9回のマウンドに登った星知弥は1点を失ったけれども、3連投中だったマクガフの代わりを務め上げプロ初セーブをマークした。笑顔が光る。それでもここまでの道のりは長く険しかった。
2016年ドラフト2位で明治大からヤクルトへ入団した星は、150キロを超えるストレートを武器に一軍でバリバリと実績をあげているはずだった。
それがここまでわずか7勝。大卒ドラフト2位の投手が5年で7勝はとても物足りない。セーブやホールドを稼いでいたかというと、そういうわけでもない。この試合がプロ初セーブでありホールドは通算12個。なかなか結果がついてこなかった。故障もあった。それでもここはプロの世界。それを乗り越えていかなければ未来はない。
その間、明治大で同期だった柳裕也(中日ドラフト1位)はエース格になり、今年は投手三冠も視界に入っている。ドラフト9位入団の佐野恵太(DeNA)はチームに欠かせない存在となって、昨シーズンは首位打者に。この日も星から二塁打を放ち意地を見せている。同じドラフト会議で指名された同級生たちはすでにプロの世界で輝いていた。
それでも星は”もっている”。2017年7月26日。先発のマウンドに登った星は5回10失点(自責9)で散った、はずだった。ヤクルトのそしてプロ野球の伝説でもある「10点差からの大逆転劇」──あの日の先発は星だった。
大学生活最後の登板となった明治神宮大会決勝戦。星は0-2と2点ビハインドの5回から柳のあとを受けて登板。その裏にチームは逆転。そこから最後まで無失点に抑え、逆転優勝の立役者となった。8回にはソロホームランも放っている。
この日の星も本来であれば出番はなかった。守護神のマクガフが3連投。セットアッパーの清水昇と今野龍太も2連投中とチームの台所事情は苦しかったがゆえの登板だった。
代役守護神の候補は他にもいた。大西広樹、大下佑馬、石山泰稚。そのなかで、ここ数試合の内容がもっともよかった星が選ばれたのだろう。これも”もっている”。
プロ野球の世界では柳と佐野が先に結果をだした。ここまでの実績で星が遅れているのはしょうがない。それでもプロ初セーブを勝ち取り、優勝争いの真っ只中で投げ、輝いている。
輝き続けたその先には、彼らが味わっていない”優勝”という光がある。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000821
※ヤクルト公式HPより