2021年11月11日(木)
ヤクルト[5-0]巨人(神宮)
季節外れの花火は打ち上がらなくても地味と派手、両極端な点のとり方で王手をかけた。
先制点は地味だった。2回1死満塁から西浦直亨が犠牲フライを放っての1点。ホームランやタイムリーがもちろん理想ではある。それでも欲をかかずに、まずは1点ほしいこの場面で西浦が役割を果たした。前日も派手ではなく、地味、いや、ちょい派手くらいの守備で奥川を助けた。なんだか西浦らしい。
ジリジリとした展開に11月の寒さが加わりアルコールは進まない。塁上を賑わせるけれども相手先発の菅野智之は、「あと1本」を打たせてくれない。さすがエース。ライバルチーム の選手でもすごいものはすごい。これで中4日なのか。認めざるを得ない。
そのなかで巡ってきた6回2死満塁の場面。打席には川端慎吾が入った。”切り札”にしては早い登場。鳴り響く手拍子。多くのファン(ぼく)は勝負を決める鮮やかなラインドライブ性のあたりを夢想し、願う。
そんな願いとは裏腹に川端からは「ここでオレが決めなくては」といった焦りも気負いも感じなかった。2球で追い込まれても冷静にボールを見極め、最後はすっぽ抜けに反応すらせず四球を勝ち取った。欲をかかなかった川端の完全勝利。派手なタイムリーが出なくても「川端、何やってんだ」なんて誰も言わない。
さらに続く満塁のチャンスで打席には前日のヒーロー塩見泰隆が入った。終盤3回を残している。2点はワンチャンスでひっくり返る。外野は前進。アウトカウントは2つ。間を抜ければ3人還ってくる。決めればヒーローだ。
塩見はカウント2ボール2ストライクからの5球目をスイングすると打球は空気を切り裂いた。走者一掃のタイムリースリーベース。ド派手に決めた。打っても守っても、「やるときはやる、ダメなときはダメ、何でも全力」。それを地で行く男・塩見の笑顔は多くのファン(ぼく)の心に安寧をもたらした。
7回からはスアレス、清水昇、マクガフの3人が淡々とアウトを奪い「0」を刻んだ。試合全体を見れば、たくさんの反省点はあるのだろう。先発投手の不安定な立ち上がり、ここぞででないタイムリー、バックアップに走っていない外野守備…。それでも今はポストシーズン。反省も大事なのだろうけど、結果がすべて。
ホームランが出なくても地味にそして最後は派手に得点を奪った末の勝利は格別だった。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000964
※ヤクルト公式HPより