マクガフ3連投の有無から生まれた「野球を考える」楽しさ | ヤクルトが好き

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2022年6月5日(日)
ヤクルト[5-3]西武(神宮)

これほどまでに頭を使った──ファン(ぼく)が使う必要ないだろ、という至極まっとうなツッコミはさておき──試合終盤はなかった。

ここ2日続けてマクガフは9回に登板していた。つまりこの日はベンチ入りして入るものの、3連投を避けるためにお休みなのでは、と踏んでいたからだ。多くのファンもそう思っていたのではないだろうか。

3-3の同点で迎えた6回裏。ここからブルペンは忙しくなる。先発の高梨裕稔はこの攻撃の4人目の打者。回ってくれば代打が送られることが確実で、仮に回ってこなくても95球を投じていたことを考えれば…といったところだ。

ここでブルペンに入ったのは清水昇だった。なるほど、今日は清水が7回か。

ほどなくして高梨に代打が送られ、勝ち越し点が入った。同点での継投から逃げ切りへの継投へと変化する。とはいえ、清水の起用は変わらない。仮に僅差リードだったとしても、最初から清水がブルペンに入り7回のマウンドへ照準を合わせていたはずだ。

7回表、清水がマウンドに登ってから田口麗斗がブルペンに入った。このタイミングでのブルペン入りは、次の回というよりも”万が一”に備えての意味合いが強い。ベンチで唯一の左腕。準備していてなんの不思議もない。

が、清水は備えがあるからの安心感からなのか、なんの問題もなくベンチに引き上げてくる。ブルペンの田口も下がる。その動きに合わせてファン(ぼく)が目をやるのは誰も投げていないブルペンだ。

まわりでは東京音頭に合わせて傘が振られている。でもそんなの関係ない。ここからブルペンに登場する投手=8回に登板する投手となる。それは誰なのか。そっちのほうがよっぽど重要だった。

姿を表したのはさっきまで調整していた田口だった。でも本格的な投球練習はしていない。ブルペン捕手は立ったまま。

もしかして清水回跨ぎの田口は8回もワンポイント待機なんだろうか。頭はまわる。

この時点ではマクガフが登板するとは思っていない。9回を今野龍太が締めると考えれば、2点リードの8回を回跨ぎの清水+田口で乗り切る選択肢もある。

西武の打順は1番から。左(呉念庭)、右(外崎修汰)、左(川越誠司)、右(山川穂高)、左(森友哉)、左(オグレディ)と続いていく。森とオグレディと左が続くところ──失点しているかピンチの二択になる──で田口を投入することは考えられた。

が、攻撃の途中、田口が捕手を座らせる。清水はキャッチボールに出てこない。8回は田口でスタート、そして9回は今野、か。驚くことではないし、納得の継投だ。

しかしファン(ぼく)の胸中はざわめく。8回の表に田口がマウンドに上ったと同時にブルペンには今野が入ったからだ。二度見した。え、ここで入るってことは9回じゃない。

マクガフが3連投なのか。あるいは石山泰稚に託すのか。と頭はまわる。石山は6回に1度ブルペンに入っている。過去の実績はNo.1だけれども9回を投げるとは考えにくい。やっぱりマクガフなのか。前半戦での守護神の3連投。現代のプロ野球では、勝負手のひとつといっても差し支えない。

じゃあ今野がブルペンに入る意味はなんなのか。それは4番の山川穂高対策。この日も完璧なあたりを放った西武の主砲。田口が1人ランナーを出せば回ってくる。ここで投入するための準備だったのだろう。

結果的に田口がピシャリと締め今野の出番はなかった。それでも備えはしっかりしていたあたりが、ブルペンのいきあたりばったり”じゃない”感を醸し出す。

田口がベンチに戻ると今野もブルペンから下がる。そして3連投となるマクガフがブルペンに入った。ここから先はいつものとおり。10分後には歓喜の輪が広がっている。いつもと違ったのは最後の小フライをマクガフが自分で捕球したところ。本来なら村上宗隆のボールだけれども、守備シフトの影響で村上はサードではなくショートのあたりにいた。ちょっとどよめいた。

マクガフの3連投──ここは交流戦。当然、勝負はまだまだ先。ただでさえ中継ぎに負担がかかっている投手事情。先発頑張れ。そのなかでも勝負手を打ち、確実に1勝を取った。見落とされがちだがマクガフ3連投の裏で8回の男・今野を休ませているしたたかさ。

この試合の終盤。点を取った、取られたの応酬よりも楽しかった。

イチローが言う「考える野球」とは確実に違う。だってぼくはプレーヤーじゃないし。言うなれば「野球を考える」だろう。答えなんてないけれども、いや、ないからこそそれが楽しい。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005778
※ヤクルト公式HPより

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