2022年6月2日(木)
ヤクルト[7-3]ロッテ(神宮)
取り上げたいことがいくつもあった。
小川泰弘味のあるスアレス、やっぱり山田哲人はすごかった、木澤尚文の回跨ぎバンザイ、復活の石山泰稚──三者者連続ポップフライ、内山壮真は内川聖一だった──。
ざっと思いつくだけでもこれだけのタイトル(仮)が思いつく。
インパクトでいったら内山だ。なんてったって8回同点の1死満塁で右方向への走者一掃タイムリーは最低限のレベルを遥かに超えている。
浅いカウントでは当然のごとく、追い込まれてからも強く振っていたのに、あの低めの球(結果球)だけはコンパクトに弾き返した。それでいて打球は鋭く、右中間を転がっていった。右打者のあの右方向への打球は往年の内川だった。
これが山田や村上宗隆に青木宣親といった主役オブ主役が、もし凡退しようものなら大きなため息が共有されていたはずだ。ネットでもいろいろなことが書かれるだろう。ある種しょうがない部分でもある。だって中心選手だから。それだけの責任があるから。
一方で内山なら「まぁしょうがない」とあきらめもつく。だってまだ高卒2年目だし19歳。心にかけた安心の保険がある。みんな大きな器で見守ることができる。なんてったってファン(ぼく)は大人だから。
犠牲フライで100点、併殺崩れで1点は入れば90点、点が入らなくてもゲッツーじゃなければ75点。万が一ゲッツーでも60点。同点だし、貴重な経験を次にいかせればいい。ファン(ぼく)の心の中の保険はこんな塩梅だった。
それがどうだろう。走者一掃のタイムリーツーベース。メーターは振り切れた。ホームランよりも余韻は残る。結果はもとより、塁上での表情、仕草、そのあわせ技は100点を越えた。保険なんていらなかった。
スアレスが序盤に失点するも踏ん張り、木澤や石山ら勝ちパターン以外の中継ぎ陣の強さがあり、山田が反撃のムードを作り、最後の最後に内山がすべてをもっていった。
外国人選手、若い中継ぎに復活しそうなかつてのクローザー、そしてキャプテンとみんなが19歳の若人にお膳立てをし、それにきっちりと応える。
お膳立てされても、チャンスが巡ってきてもなにもできずに終わってしまう人が多い中、内山という男は成し遂げた。
チャンスは一瞬。
それに応え続けるこの男、やはりかっこいい。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005760
※ヤクルト公式HPより