2022年6月4日(土)
ヤクルト[3-2]西武(神宮)
なんだかとてもチーム力というのかレベルが上がった。
1人のスペシャルな存在──たとえばイチローや大谷翔平のような──が劇的にチームを変えたわけではない。
各選手ひとりひとりの力が少しずつアップし、結果としてチーム力を上げている。この試合でその象徴が投打ともに現れた。
投手ではビハインドで中継ぎとしてマウンドに上がったコールが光った。推定年俸9100万円──中継ぎでは石山泰稚とマクガフに次ぐ3番目──の助っ人外国人選手に任せる場面ではないが、不貞腐れることなくしっかりとゼロを刻んだ。
コールは先発として来日するも、中継ぎに配置転換された。最初の登板で打ち込まれたこともあり、今のブルペンでの序列は高くない。だからこういった場面でも登板機会が回ってくる。だがやはりMLBで実績のある選手。ビハインドで登板する投手だし、2回に1回は失点するのはしょうがないよね、といったレベルではない。最低限のレベルが高くビハインドで起用できるのはとても贅沢だ。
この日はブルペンでの投球だけだったけれども大西広樹や石山泰稚も勝ちパターンではない。売出し中の木澤尚文もそうだ。ビハインドで登板することは珍しくない。その投手たちのレベルが高く、少々のビハインドの展開から勝負を捨てざるを得ない大量のビハインドになることが極めて稀だ。
だからこそ終盤の逆転劇に繋がっていく。ほんの数年前までは序盤でリードを奪われ、中継ぎ投手が火に油を注いでしまう、そんな展開が多かった。その頻度が圧倒的に減った。
マクガフ、今野龍太、清水昇の勝ちパターンは強力だけれども、その他の中継ぎ陣たちのレベルが格段に上がった。勝ちパターンはどこのチームも優秀。それ以外の投手で差をつけている。これが強さのひとつの要因だろう。
野手では──もともと高いレベルだが──中村悠平と村上宗隆がみせた。
中村は2点ビハインドの無死一、三塁。相手の守備シフトを見る感じ外野フライはもちろん、内野ゴロでも、それこそ併殺打でも三塁走者が還ってこれる場面できっちりタイムリーを放った。
村上は1点ビハインドの1死三塁。ここも相手は1点はOKの守備シフト。中村と同じく外野フライはもちろん、内野ゴロでも同点に追いつくことができる場面で逆転のホームラン。
いわゆる最低限を簡単に越えていった。これよこれ。
ちまたではよく言われる──進塁打や犠牲フライ、併殺崩れでの三塁走者生還などをさす──最低限。これは最初から狙ってやるものではなく、最高の結果を目指した上で、結果的にこうなったから称賛されるもの。
それがここ最近は進塁打を打つことが目的に見えたり、その過程を追わずに手放しで喜んだりすることが増えたように見受けられる。
それじゃ強くならないだろうなぁ、観る側の見方もちょっと違うよなぁ、とモヤモヤしていたところに最低限を超える中村と村上の一打。
ほんとうにチームのレベルが上がったんだな、と感じさせるには十分だった。
試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021005772
※ヤクルト公式HPより