野球ライターになってから6シーズン目がもうすぐ始まる。
プロ野球で例えると2015年のドラフト会議で指名された選手たちと同じになる。先日、契約更改を終えたオリックスの吉田正尚選手──現時点では1番の出世頭である──の年俸は2億8000万円(推定)らしい。残念ながらぼくの年俸というか年収は10分の1にも及ばない。圧倒的大差をつけられている。
残念ながらぼくは吉田選手ほどの成果はあげることはできなかった。でも、すでに戦力外となった選手がいるなかで、細々とではあるけれども現役を続けている。それはひとつの自信となっている。
さて、その5年の間に会社員との兼業から専業への変化はあったけれども、野球に対するスタンスや野球場での観戦方法も変わっていない。
チケットは自腹
野球ライターをしているからといってパスを貰えるわけではないし、記者席に入ることができるわけでもない。自分でチケットを購入し、指定された席で試合を見ている。野球ファンとなんら変わらないのである。
ぼくと一緒に観戦したことがある人は知っているかもしれないが、試合中はメモを取っている。アナログだったりデジタルだったりそれは様々だけれども、書いているのはボックススコアに載らないことが主だ。
新聞やネットで調べられる本塁打や勝利投手の記録は球場で書くことはない。オーダーもそう。書いていた時期もあったが、程なくしてやめた。
では、何をメモしているのか。おもに神宮球場でのことを振り返ってみた。
試合前はアップからシートノックでの守備位置や動き、相手チームの選手との絡み。球場入りする選手たちの様子も気になればメモしている。スタンドへの会釈や入り方は選手によって特徴がある。ちなみにエスコバー選手は紙コップ片手にやって来ることが多かった。
試合中はブルペンでの動きがメイン。誰がいつ投げたかはもちろん、それ以外のちょっとしたことも書いている。例えば、2020年シーズンのヤクルトはブルペンで投球練習する前に、マウンドを挟んで少し長めのキャッチボールをする選手が増えた。そういったこと。
その他では選手のバックアップの動きや出塁した選手と守備の選手との絡み、球場での情景などをメモしている。ここ数年では、このオフに巨人から阪神に移籍した山本泰寛選手のバックアップが一番記憶に残っている。慶応ボーイの印象がガラリと変わった。
試合後は引き上げる時の様子に目を光らせる。2020年シーズンで言えば、斎藤隆投手コーチは、試合で打ち込まれたりよくなかった選手に声をかける姿が多かった。それに気がついてからは、誰と引き上げるかを毎試合チェックしていた。
2021年は新たな発信を
テレビやネットで全試合の映像を簡単にチェックできるようになった時代に球場にいるのは、──試合を楽しむのは大前提として──映像におそらく映っていないであろう情景を書き留めること。
それが仕事に生かせるかどうかは二の次だった。必要であれば使うし、そうじゃなければ無理に入れ込まない。そういうつもりで頭の中にインプットしている。
とはいえ、それもなんだかもったいないな、と思うようになったのも事実。ぼくだけだ知っていることなんて価値がないし、2021年シーズンは情景を音声やこの自分のサイトで記事にして発信していこうと思っている。