渡邉大樹に山田哲人そして星知弥──七夕の主人公はひとりじゃない | ヤクルトが好き

渡邉大樹、星知弥、山田哲人

2021年7月7日(水)
ヤクルト[6-4]阪神(神宮)

七夕──プロ野球の歴史ではいくつもの悲劇もしくは喜劇がこの日に生まれている。

古くはロッテの黒木知宏が一発を浴びた1998年のあの試合。ヤクルトでも2017年に”抑え”の小川泰弘が9回に大炎上した。そういえば去年、「代打・三ツ間」が起こったのも7月7日だった。

今年はどんなことが起きるのだろう。前日も翌日も雨予報だというのにもかかわらず、この日だけは神様の粋なはからいなのか晴天だった。少しの蒸し暑さはあるが雨が降るよりはずっといい。ビールがないのは残念だけれども。

さて序盤から両チームからホームランが飛び出す胃が痛い展開。

サンズのホームランで先制された直後に放った山田哲人の一発は弾道が美しかった。よく見る山田のライナー性よりは少し弾道が高い。かといってアーチスト特有の放物線ではない。その軌道はまさにブリッジ。荒木貴裕の応援歌を彷彿ささせる。

驚異のスラッガー佐藤輝明には弾丸ライナーを打ち込まれた。あのスイングでホームランになるのか、というような一撃。末恐ろしいライバルが阪神に入った。

野球の神様は憎い演出をする。この試合はホームランだけじゃなかった。両チームの外野手が攻守を連発し場内を沸かせようとする。というか湧いた。天才川端慎吾の勝ち越し打を阻むサンズのダイビングキャッチ。青木宣親を刺した佐藤のレーザービーム。

ヤクルトだって負けてない。サンタナが進塁を阻止したバズーカ返球。極めつけは、9回ここぞで飛び出した渡邉大樹の三塁返球。どれもこれも勝負の分かれ目だった。

両チームに生まれたホームランに好守備。波乱万丈。みどころがたくさんあった試合だ。

もう一度過去の七夕を振り返ってみると、悲劇も喜劇も主人公がいた。黒木、小川、三ツ間……。

でもこの試合はひとりに決めるのがむずかしい。渡邉大樹は決勝打を放ち、レーザービームを魅せたしヒーローに相応しい。でも山田は逆転ホームランにダメ押しの犠飛を放っている。吉田大成は勝ち越しの口火を切るヒットを含めて3度出塁した。

投手陣では星知弥が見事な火消しでチームのピンチを救った。坂本光士郎も今野龍太も清水昇もマクガフも無失点で襷をつないだ。近藤弘樹と梅野雄吾、そして石山泰稚の不在を結束して乗り越えた。

無数の星(スターの意)からなる天の川のように、この試合では多くの選手が少しずつの役割を果たして勝利という橋を架けた。それもヤクルトらしい。1年に1度だけ、ではないことを空に願う。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000588
※ヤクルト公式HPより

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