負けても気になるたくさんのこと。ルーティーンを変えた石山泰稚とか | ヤクルトが好き

石山泰稚

2021年7月10日(土)
ヤクルト[0-5]広島(神宮)

試合前の神宮球場で流れるCMは頭に残る。午後の紅茶の「最高おいしい」。東芝の「アメニモマケズカゼニモマケズ」。日本大学の「走れ 走れ」。薬物に対する注意喚起。どれもこれも印象に残っている。CMとしては大成功なのではないだろうか。熱心なファン(ぼく)の頭の中ではぐるぐると回っている。

いつものCMを見終わり始まった試合では、広島のルーキー大道温貴にプロの洗礼を浴びせるどころか自信を与えてしまった。

試合開始前の暑さは時間が進むにつれて程よくなった。心地よい風も吹き暑さ、湿度ともに絶好のコンディション。ビールが荒れば完璧だった。遠くで光る雷に怯えながら試合は進んでいく。

終盤に無死満塁のチャンスをつくり代走渡邉大樹。「走れ走れ」と念じたいところだが満塁。走ることはない。そこからの代打川端慎吾、代打内川聖一のコンボ。最高の舞台で両者が打ち取られてしまったら、それはもう仕方がない。代打宮本丈も早い段階で使い切っており、終盤には残っていなかった。打つ手を打って負けたのだから気持ちはあっさりしている。

今のヤクルトは勝ち負け以外にも、この代打攻勢のようにファン(ぼく)が盛り上がれるポイントはいくつもある。ブルペンでの投球練習、そしてその順番。投手交代からのダブルスイッチに守備シフト……具体例をあげればきりがない。

この試合では原樹理が危険球退場になったことで大下佑馬が緊急登板をした。回はまだ4回。当然、ブルペンでの投球練習は行っておらず、死球の後に慌てて10球ほどを投げ込みマウンドへと向かう。慌てていたのか一度足を運んでから踵を返し力水を口に含んだのは大下らしい。

原の緊急降板を大下が救い、結果的にはふたりで6回2失点と試合は作られていた。本来想定していたゲームプランとは違えど、こうやって助け合うことで傷を最小限に抑え込んだ。大下はマキロンのようなものだ。

大下の次にマウンドに登ったのは石山泰稚。二軍調整を経てから初めての登板。ブルペンではマウンドの後ろにペットボトルを置くのがルーティーンだったのにこの日はない。青木宣親がオールドスタイルをやめたように、石山もルーティーンを変えたのかもしれない。そんなことを考える余裕もあるくらいぼくは穏やかだった。

1回無失点と復活の狼煙をあげた石山は頼もしく見えた。守護神のときよりマウンドでの声は小さい気もするが、そんなことよりも「抑えた」という結果が何よりも嬉しい。

一方でその後に登板した吉田大喜と大西広樹はともに失点した。ビハインドの場面でも、なかなか複数試合連続で無失点に抑えることができないのはもどかしい。前日には星も痛恨の一撃を浴びた。あとちょっとなんだけどな。

想像以上に勝ちパターンとそれ以外の差は大きい。ここでも冷静に振り返ることもできた。淡々と進んだからか雷は鳴っていたけれども近くに直撃せず、雨にも負けなかった。

こんなにたくさんのことを考える余裕のある試合も珍しい。

前日に摂取したサヨナラ勝ちという麻薬はもう切れた。一度染まるともう戻れない。それでも断ち切らなければいけない。試合開始前のCMが最高身に染みる。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000601
※ヤクルト公式HPより

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