投手版ユーティリティー・スアレスの存在 | ヤクルトが好き

スアレス

2021年10月12日(火)
中日[3-2]ヤクルト(バンテリンD)

バンテリンドームは暑かった。熱い、ではなく暑い。ドーム球場のよさである空調設備が生かされているとはいえない蒸し暑さ。グラウンドレベルもきっと暑い。

ファン(ぼく)の体温が上がり、体調を崩したかと錯覚に陥るほどだけれども、解禁されていたビールはきっと美味しい。まさか、そんな目的で…というのは少し考えすぎだろうか。

が、残念ながらビールが美味しい展開にはならない。塩見泰隆のホームラン、青木宣親のタイムリーはあれど、なんだか煮え切らない。暑けりゃいいってもんじゃない。体感する暑さと試合の熱さがかけ合わさってスタジアムで飲むビールは初めて美味しくなる。

それでも見どころはもちろんあった。冷えたビールをゴクッと飲むたくなるそんなシーンは6回のこと。

同点とされた6回裏1死二塁。先発の小川泰弘がマウンドを降りる。ここ最近の傾向からすると大西広樹の場面だ。板についてきた火消しの大西。試合中のブルペンで最も投げる男。

ここから継投策で最低限引き分けを拾いたい。イニングの途中。まぁ大西だろう、とファン(ぼく)は考える。しかしコールされたのは中継ぎに転向したスアレスだった。

スアレスの出身地であるベネズエラは平均気温が28度で雨季は蒸し暑いという。ヤクルトにやってくる前に所属していたダイヤモンドバックスの本拠地は酷暑で知られるアリゾナだった。バンテリンドームの暑さではびくともしない。

とはいえ、スアレスにとって来日後初となるイニング途中からの登板。自分で出したわけではない走者が得点圏にいる初めての経験でもある。

「無失点に越したことはない。それでも1点はしょうがない」

そんな心境のファン(ぼく)をあざ笑うかのように最初の打者をピッチャーゴロに抑えた。捕球後さっと二塁を見て走者を目で殺す仕草が光る。それは蛇の目だった。続く打者を空振り三振。難なく無失点に抑えベンチに下がっていく。

先発から中継ぎへと転向した右腕はこの日も頼もしかった。本格的に転向した9月下旬以降、中継ぎ内の役割も様々だ。ビハインドの展開でスタートするも3試合目ではセーブシチュエーションを任さされた。イニング跨ぎに連投もすでに経験済み。そしてこの日はイニングの途中からの火消しを初体験。そのすべてを無失点に切り抜け与四球はなんと0。まさに傭兵。助っ人とはこういうものだ、というの見せつけるかのような快投を続けている。

今シーズン、先発勝利、ホールド、セーブのすべてを記録している投手は12球団で畠世周(巨人)とスアレスのふたりだけ。投手版ユーティリティーとしての地位を築いた。

投げては故障しファン(ぼく)の不安を誘(いざな)っていた男はもういない。どんな役割でも結果を残す男・スアレスの存在はとてつもなく大きい。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000916
※ヤクルト公式HPより

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