王手の裏にあった3つの絆 | ヤクルトが好き

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2021年11月24日(水)
ヤクルト[2-1]オリックス(東京ドーム)

日本一に王手をかける3勝目を挙げた日本シリーズ第4戦には3つの絆があった。

1つ目は2017年ドラフト同期の絆。

1回裏2死一塁の場面で4番・村上宗隆(2017年1位)が打席に向かうところで多くのファン(ぼく)が「おっ!?!?」となった。東京ドームに響きわたったのは「Battle Scars」(Lupe Fiasco)。この日本シリーズで1度も流れていないこの曲は宮本丈(2017年6位)の登場曲だ。宮本は第1戦でフェンス激突のファインプレーを見せそれ以降は欠場している。報道によるとこの日の試合前練習には合流していたようだが、ベンチ入りはしていなかった。

本来であればベンチ入りは確実。この日も”2番目”の勝負所、あるいは回が浅いところでの代打に向けて準備をしていたはずだ。それがベンチに入ることさえできなかった。試合中のアクシデントではあっても本人に悔しい思いがあることは想像に難くない。そんな宮本も一緒に戦っている。ファンに存在を思い出させる村上の計らいに泣いた。

2つ目は外国人野手の絆。

5番に座るサンタナは第1打席で試合を跨いでの2打席連続ホームランを放った。けれども6回に緩慢な守備からによる失点で同点に追いつかれた。たくさんのよくないところが出た。打球にチャージをせず、ボールをファンブル、そして走者が三塁を蹴っているのを理解していないかのような返球……。試合に負けたらスポーツニュースで何度も晒されてしまう。下手すれば後世にも残ってしまうような守備だったことは否めない。その窮地を救ったのは盟友オスナだった。

その裏、オスナは2死一、二塁からセンター前に弾き返しチームは勝ち越す。サンタナのミスを帳消しにするために打った、と言われてもおかしくないような気迫を一塁ベース場で見せた。オスナはほんとうによくわからない。フリースインガーということもあり四球拒否打法。相手が制球を乱していても振りにいき凡退する姿はこの日本シリーズでも見られた。「おいおい」と嘆きたくなるような打席は一度や二度ではない。それでも窮地に陥った仲間を救うためにここぞで魅せた。

3つ目は石川雅規と中継ぎ投手の絆。

先発石川雅規は6回1失点(自責0)の好投で中継ぎ陣に後を託した。2-1と​1点リードで勝ち投手の権利はある。が、今シーズンの石川は好投しても報われない。打線が援護できない。石川の登板試合ではそれがあたりまえのような光景になっていた。それでも石川はふてくされることなく、ベンチの最前列で味方を応援し後輩たちと戦況を見守ってきた。

その石川は権利を持って降板しながら、中継ぎ陣が打ち込まれ勝ち投手になれなかったのは3試合あった。それも3試合連続だ。7月4日の清水昇、8月18日に石山泰稚、8月25日のマクガフ──痛恨の失点を喫した3人が最高の舞台でチームのリードを守ること、すなわち石川が持っている勝ち投手の権利を消さないことをやってのけた。石川への”借り”を大舞台で一気に返済した。

データを活用し分析ができるようになった今の時代は、なにもかもが可視化することに重きが置かれている。目に見えないものを嫌い、目に見えるデータや、感情、感覚は排除されつつある。それは当然の流れなのかもしれない。でもやっぱり野球は生身の人間がやるもの。想いや感情も捨てきれない。そう信じるからこそ沼にハマっていく。

野球とぼくをつなぐ絆がここにある。

試合結果:https://www.yakult-swallows.co.jp/game/result/2021000978
※ヤクルト公式HPより

記事参考:https://www.nikkansports.com/baseball/news/202111240000518.html
※宮本丈練習参加

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